スポーツ

最終更新日: 2020.01.18

森保監督をオリンピック後に解任する選択肢はあるか?

日本代表の不甲斐ない戦いぶりに、森保監督の解任論がサポーターからも聞こえてくるようになってきています。

11月 親善試合 ベネゼエラ(1-4)
12月 E-1選手権 韓国(0-1)

この2戦の内容と結果に指揮官へ厳しい視線が向けられています。

森保ジャパンの現在地

2019年、A代表とU-23代表を兼任する指揮官は、コパ・アメリカ、E-1選手権で若手選手を積極的に起用しつつ、トルシエ以来、歴代監督にはなかった「二足のわらじ」という立場を活用し、A代表とU-23代表の活性化と底上げを同時に行っています。

選手の視察や各代表の試合と、常に飛び回っている森保監督、その忙しさは歴代監督が経験したことのない激務だということは想像が容易いです。またメディアからも伝わる真面目なイメージはそのままに、周りを気遣う律儀な性格は、良くも悪くも仕事量をさらに膨らませているでしょう。

そんな多忙極まる指揮官は、兼任監督としての目標を明確にしています。

オリンピックの目標 「金メダル」
ワールドカップの目標 「ベスト8以上」

はたして、この目標を達成できるレベルへと着実に歩みを進めているのか?

今回は、日本代表の2019年を振り返り、森保ジャパンの現在地と解任の可能性を見極めていきます。

2019年 A代表の戦績

2019年の戦績は、悪くない数字ではあるものの、勝利したのは格下相手がほとんどで、チームとして目に見える成長を表す結果とはならなかった。

試合数勝利分け負け
2019年231535

ここで注目したいのは、負けた試合のスタメンです。もちろん負けた試合は拘束力の有無など、いくつかの招集事情がありますが、2019年シーズンで負けたのは全5試合となっています。

負けた5試合

日程対戦国結果大会
2月カタール1-3アジアカップ
3月コロンビア0-1親善試合
6月チリ0-4南米選手権
11月ベネズエラ1-4親善試合
12月韓国0-1E-1選手権

指揮官が考えていた2019年初めのベスト布陣は、必然的に2018年スタメン布陣がベースになります。

ベスト布陣(2018)

このほか原口、伊東(純)、久保、鎌田、橋本などもスタメン候補といえますが、今でも基礎になっている布陣は、2018年のチームです。このベスト布陣と、今年の負け試合のスタメン布陣を比較すると見えてくるものがあります。

対戦国スタメン
カタール権田長友冨安酒井吉田、塩谷、柴崎、原口、南野堂安大迫
コロンビア東口、昌子、佐々木、室屋、冨安、山口、柴崎中島南野堂安、鈴木
チリ大迫、杉岡、植田、原、冨安、中山、柴崎中島、久保、前田、上田
ベネズエラ川島、植田、畠中、室屋、佐々木、柴崎、原口、中島、橋本、浅野、鈴木
韓国中村、畠中、三浦、佐々木、橋岡、遠藤、井手口、森島、田中、鈴木、上田

*=ベストメンバー(2018)

海外組の招集問題があるにしても、目先の勝利を全身全霊で取りに行く思考ではなく、少なくともベテランよりは若手の成長を促したいという思惑が垣間見えます。つまりガチガチに近いベストメンバーで負けたのは、結果的にはカタール戦の1敗だけということです。

それを考えると、森保監督で「結果が出ていない」という結論には現時点ではならないし、この戦績では現在地も知ることができません。ただ間違いなく、現在地(若手の成長)を「戦績」で問うことができる舞台がこの指揮官には用意されています。

それが「東京オリンピック」です。

 

戦術

おそらく森保解任を望むサポーターの多くは、戦績よりもロジカルな攻守の準備ができていないことに不安を覚えているはずです。欧州のトップリーグ監督と比べてしまうと、先を見据えた解決策を用意できない監督なんじゃないか?という疑念を抱いてしまいます。

試合中に修正するのが遅いという指摘もそのひとつです。

E-1選手権 / 韓国戦の問題点
3バック脇へロングパスを蹴り、セカンドボールを拾うという明確な狙いを持った韓国。日本は守備時に5-4-1となるシステムで、1トップが敵2選手を見るプレッシングになり、ロングボール配給元を阻害できなかった。また韓国は中盤を意図的に釣りだし、バイタルにスペースを作り出していました。フィジカルに勝る韓国なら、こういった戦い方はある程度予想できただけに、その対策は準備されていたのか?

ビルドアップ時に3バックが並んでしまうという現象は、韓国 4-1-4-1(4-3-3)プレスの餌食になっていました。3バックは、角度や距離感を間違ってしまうと4バックよりバランスが崩れやすいシステムです。危ういボールの失い方も多く、戦術的に破綻してもおかしくなかったです。

韓国戦ではインテンシティとボール回収に重きを置いたスタメンだったのかもしれませんが、それがうまく行かなったときの対策はなかったように思います。守備時の5-4-1ブロックは、Jリーグレベルなら、それほどロングボール精度やフィジカル強度が高くないので、セカンドボールを拾うだけの対策でどうにかできてしまうかもしれません。

特に前線からのプレス(上田、武蔵、森島)は曖昧になっており、結果的にDFラインが上げられず、5-4-1の状態が長く続いてしまっています。序盤から選手達が混乱しているようにも見え、明らかに準備不足を感じさせる内容でした。

就任から約2年で戦術がまだまだ整備されていない印象ですが、選手個人の技術力や、IQの低さも感じるので、指揮官の力量だけを計れない難しさがあります。ただ選手を成長させることができるのもまた指導者です。「限られた時間の中で」という魔法の言葉は、選手達やサポーターに対する言い訳にしかなりません。

せめて選手が混乱しないシステム採用、戦術の大枠(プレスのかけ方等)は作ってあげて、その上でこの選手はどこが通用し、どこが足りないのか?正当な評価ができる環境は作るべきです。

JFA(日本サッカー協会)の役割

日本代表が強くなるためにJFAは何をするべきか?

「JFAはW杯優勝を狙っている」

そう感じたことがあるか?とサポーターに聞くと、おそらく答えは「ノー」と返ってくるでしょう。口では数十年後に優勝を目指すといっても、それは建前の目標という気がしますし、優勝するために年間でどれだけお金を使って、どれだけの人、どれだけの時間を費やしているのか?

サポーター達は、そういう生々しい真剣さに触れた経験はないでしょう。

ハリルホジッチ解任から学ぶ

そして協会の体質を浮き彫りしたのは、ロシア・ワールドカップ前にハリルホジッチが電撃解任されたときです。

彼はノルマを達成できず、契約解除になったわけではなく、「コミュニケーション不足」「選手からの信頼を失った」という理由で解任されたのです。検証や基準が曖昧だと協会を批判するメディアもありましたし、そんな状態になるまで、協会や技術委員は何をしていたのか?という不信感が残る結果になりました。

サポートとプレッシャー

協会や技術委員がその解任から学ぶべきことは

「絶対的なサポート」
「存続へのプレッシャー」

強豪国と呼ばれる国には、欧州トップリーグに数百人以上が所属し、常に高い競争に晒されています。日本が他国とさほど変わらない強化策をして「W杯で優勝できるか?」というと、これは運以外に実現不可といえそうな格差です。

ただW杯の面白いところは、各代表が練度を上げる時間がなく、チーム完成度が低くなるという独特な舞台になっていて、量と質に差があったとしても、チームの完成度で勝負ができます。

このチーム完成度には、選手や監督への「絶対的なサポート」が必要になります。そのうえで評価基準を整理し、指揮官へ更迭という「存続へのプレッシャー」を与え続けること。JFAは、ハリルホジッチ解任から自らの役割を学ぶべきだと感じます。

オリンピックの解任条件

オリンピックは、出場国の数がワールドカップとは異なり、グループリーグを突破した時点でベスト8になります。U-23代表の最高成績はベスト4(プロ化以後)

森保監督は、自国開催ということもあり、優勝(金メダル)を目標に掲げていますが、解任条件(ノルマ)として、優勝は現実的ではありません。

オリンピックの過去成績

開催成績
リオ(2016年)グループ敗退
ロンドン(2012年)ベスト4
北京(2008年)グループ敗退
アテネ(2004年)グループ敗退
シドニー(2000年)ベスト8
アトランタ(1996年)グループ敗退

 

東京オリンピック出場国(サッカー)

地域(枠)出場国
欧州(4)スペイン
ドイツ
フランス
ルーマニア
アフリカ(3)エジプト
コートジボアール
南アフリカ
アジア(4)日本(開催国)
未決定
オセアニア(1)ニュージランド
南米(2)未決定
北中米(2)未決定

 

現実的なノルマを考えるなら「ベスト8」or「ベスト4」

今回のU-23は、富安、堂安、久保、田中碧、板倉、上田などがいて、タレントが非常に多い世代になります。グループ敗退で更迭という条件はそこまで厳しくはないでしょうし、自国開催というアドバンテージもあるので、ベスト8(グループリーグ突破)は最低条件といえるかもしれません。

まとめ

ただ日本サッカー協会が、こういった条件(ノルマ)を課している雰囲気はなく、おそらくグループ敗退しても森保監督の続投は既定路線になっています。

オリンピックの戦績ノルマは、W杯よりも個の質が落ち、各国それほど力を入れてこないと考えると、予選敗退は解任であるべきですし、メダルを取れない場合でも致し方ない判断だと思います。

森保監督でなくとも、今後チーム完成度が成長しないとすると、強化法を考え直す必要があります。

ブラジルより優れる日本の良さは?

ここをサッカー関係なしに「お金」と考えられるなら、それを上手く使ってチーム力を最大化させようという価値観も作りだせるはずです。

・代表カリキュラム作成
・強化費を倍増

・戦術指導家の補強
・欧州拠点を立ち上げ

などなど資金面でサポートできることは多岐に及びます。これは協会の本気度を示せるひとつのファクトです。各国代表がここまでお金は使ってないというレベルでも、代表チームの完成度を高めるためなら、なんでもする!という貪欲さの表れになります。

日本には、批判や衝突を避ける文化があり、それは協会、メディア、指導者も同じかもしれません。その一方で、論争になりそうな事でも「俺はこう思う!」と正直に話してくれる人に、信頼を寄せたくなるのが人間です。なぜかそれを率先してやっているのが、JFA会長や強化委員でなく、Jリーグの副理事がやっているという不思議な状況になっています。

どうやって優勝を狙うのか?
本気になっているのか?

JFAに対して、サポーターは常にその姿勢を問うべきです。

 

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