スポーツ

ヴィッセル神戸が弱い理由|三木谷オーナーはサッカーが好きなのか?

2019年4月17日、ヴィッセル神戸のフアン・マヌエル・リージョ監督が突然辞任!

そして、吉田孝行監督が再就任→解任→フィンク就任

今回はいまいち調子の上がらない「ヴィッセル神戸の弱さ」について、その要因を探っていきます。

ヴィッセル神戸が弱い理由

今現在、シーズンの成績は「6勝3分11敗」

15位という降格争いの真っただ中!

その弱さは、これまでのヴィッセル神戸と変わりません。

では、どうして上手くいかないのか?

失点数

ここまでのリーグ戦は、20試合で36失点という結果になっており、失点の多さが目立ちます。

ヴィッセルの場合は、DF陣の力不足ではなく、守りの緩い「ビジャ、イニエスタ、ポドルスキ―、サンペール」などの選手を複数起用してしまうのが大きな要因です。

守備範囲が狭いサンペール&範囲が広い山口

特に攻→守に切り替わったときの危うさは見ていてもゾッとします。

それに加えて古橋選手は、相手ディフェンスの背後を積極的に狙うタイプなので、どうしても守備の戻りが遅くなってしまう場面もあります。そうなればディフェンス陣は、広範囲のスペースを数的不利な状況で守ることが多くなってしまいます。

すべての失点がこのスペースに起因するものではないですが、対戦チームは明らかにスペースへの狙いを持っていることが多いです。

その弱みをチームとして整理して、穴埋めができていないのが現状。

欧州のビッグクラブといわれるチームにも、守備のタスクが少ない選手は存在しますが、多くても前線の1~2選手です。

それが3~4選手となれば、チームとしてのバランスは崩れ、攻守における一体感は失われます。そうなれば「攻撃と守備の分業化」の状態になり、守備の不安定さが数字にも表れてきます。

では選手たちが悪いのか?というと、あくまで選手を起用するのは「監督」です。

監督は、チームにいる選手を適材適所に配置し、最大限の力が発揮できるように、チームとしての約束事などを設定しなくてはなりません。

 

監督

運動量が少ないのも選手の個性になるので、選手を起用する監督の責任です。

辞任されたリージョ監督は、マンチェスター・シティ現監督であるグアルディオラから慕われている戦術家として知られていますが、優勝など大きな成果を残している監督ではありません。

それでも29歳でサラマンカの監督として、リーガ最年少監督を記録。それからもいくつものクラブチームを率いましたが「スペインでは戦術コンセプトやセオリーは浸透してしまい、教える必要がない」とコロンビアなどの海外で指導をするようになった人物です。

日本人選手がリージョを理解するのには、時間が掛かるだろうと想像していましたが、「攻撃と守備の分業化」の危険さに気づかないほど愚かな監督ではありません。

「相手ボールでも攻撃はできる」というリージョ監督。

これは守備でも適切な位置に選手がいることで攻撃に繋がるという意味で、近年でいう「ポジショナルプレー」のことですが、そういった知識を持つ戦術家が、適切な位置にいられない選手を多く起用するというのは違和感を抱きます。

そうなるとリージョ監督に、何かしらの制限があったとも思えてしまいます。

リージョ監督 2018年9月17日/就任発表
ビジャ選手 2018年12月1日/加入発表
サンペール選手 2019年3月7日/加入発表

一部メディアでは獲得した外国人選手の起用に条件があり、特にサンペール加入後は、リージョにとって魅力のない仕事になってしまったという噂も。

ただ、どんな内部事情があったとしても、監督は率いたチームの成績に責任のある立場であり、これまで率いてきた監督の力不足が、ヴィッセルの弱さの最大の要因といえるでしょう。

VIP待遇
前監督である吉田監督は、外国人選手にもハードワークを求めると公言して、守備に貢献する選手を加えるなどスタメンを変化させましたが、根本的な解決には至らず解任となりました。新監督であるフィンクはどう考えているのかは気になる部分です。

配置、トランジション、守備のファーストラインなどの約束事をどこまで選手に落とし込むのか?

約束事を決めすぎてもチームは混乱しますし、指導者としての力量が問われます。

負け続けるときに何かを変えなければいけないのは間違いないですし、チームとしての正解を導けなければJ2降格は現実的になってきます。

フィンク監督は、すぐにイニエスタを中央に配置する形にして、攻守が切り替わったときに空いたスペースは、両サイドが絞る形をとっていますが、まだ穴を埋めきれない状態。現在は、ヴェルマーレンと酒井高徳が加入し、守備に強度ができてきた印象があります。

とにかくこれまでの悪い流れを断ち切って、より守備で戦えるチームにできれば、一気に順位が上がるかもしれません。

 

オーナー

FCバルセロナのスポンサーは「楽天(Rakuten)」

ヴィッセル神戸にイニエスタが加入したのは、楽天の三木谷会長の存在があったからこそ。

ビジャ、サンペール、ポドルスキ―も同じで、今のスター選手達のいるクラブを作ったのは三木谷会長であり、チームへの影響力は絶大です。獲得した外国人選手は起用しなきゃいけないという「暗黙の雰囲気」があっても不思議ではないです。

あれだけ投資して「一切現場に介入にするな!」というのも酷なことですが、基本的にオーナーが選手起用などに介入するとロクなことがないので、クラブ経営の大局以外では介入しないのがベストです。

イニエスタの加入は、Jリーグや多くサポーターへ還元されたことを考えると、三木谷会長のビッグネーム補強が間違っているとは言えませんし、チーム不調の原因とは言えません。

ようやくヴェルマーレン、酒井高徳など守備の整備をしていますが、これまで連れてきたビジャ、イニエスタ、ポドルスキ、ウェリントン、サンペールという名前を並べれば、守備に貢献できるプレーヤーがフォワードのウェリントンだけと、あきらかに投資先を間違えていた感は否めません。

世界にはビジャ、ポドルスキの半分のお金を出せば、若くて戦える選手がいます。

そしてヴィッセルにはオーナー以外に、影響力のある強化責任者もいます。

 

スポーツダイレクター

三木谷会長の投資を「正当なバルサ化」に導かなければいけない責任者がいます。2018年にスポーツダイレクター(SD)に就任した三浦淳宏氏です。就任時には「強化と育成、スカウティングを任されています。チーム強化の総責任者です」と発言されています。


実際、イニエスタの獲得前には、会長から「もしイニエスタが来たらどうなる?」と相談され「すべてが変わる」と後押しをしたとインタビューで答えています。このことから選手補強に関して、会長から意見を求められる立場にある三浦SD。

考えうる最悪な状況としてはSDが
・バルサ化を理解していない
・オーナーの独善補強を止められない
などなど

もしチーム強化責任者としての適正がなければ、三浦氏が辞めるまでクラブは問題解決ができないので、投資と時間は大きな損失になります。最近ようやく守備に投資を始めたことは評価できます。

でも強化した選手の年齢を考えると、来年以降の評価はガラっと変わる可能性もあります。はたして、このまま元バルサのビッグネームを連れてくるのがバルサ化なのか?

バルサ化とは
クラブ哲学を基にした「育成、強化、経営」を一体化させる巨大プロジェクト。楽天が持つバルセロナと繋がりを生かし、世界的メガクラブから学び、それを日本化=ヴィッセル化するという計画です。イニエスタ獲得は、クラブのブランド化、またアジア初のビッグクラブになる為の象徴であり、最初のステップとなる位置付けになります。

三浦SDが強化責任者として有能かどうかは、今後で評価するしかありません。

2005年、ヴィッセルがJ2降格したとき、選手として所属していた三浦氏。代表選考に不利になる降格でしたが、真っ先に残留を表明して、翌年キャプテンとしてJ1昇格に導いています。はたして彼の存在がチーム浮上のキッカケになるでしょうか?

 

バルサ化|成功の鍵

バルサ化の根本は「哲学(フィロソフィー)」

ヴィッセルがどんなクラブ哲学を持ちたいのかは分かりませんが、ただ攻撃的にボールを持つことは哲学ではありませんし、元バルサ選手や指導者を連れてくるだけで、哲学が育つワケでもありません。

すでにヴィッセルがクラブ哲学を持っているのなら

その哲学に基づいた「行動を起こせるか」「継続できるか」が成功の鍵となります。

極端な例を挙げるなら、哲学を守るためならポドルスキ、イニエスタでも放出できる体制でなくてはなりませんし、哲学に従って負ける忍耐力も必要になります。

いまのヴィッセルは哲学があったとしても、どこか筋が通っていない監督と選手構成になっていて、応援しているサポーターもバルサ化の中身が見えにくい状況です。

 

まとめ

もしイニエスタが在籍しているうちに、リーグ優勝やACL出場を目指すなら、クラブ哲学に従った戦力整理をして、攻守に活躍できる大物、日本代表クラスの選手補強(複数)もひとつの手段です。そしてチームデザインに長け、クラブ哲学を共有できる指導者を選んだのなら、しばらく辛抱することも必要になります。

一気に壊してしまうなら、思い切って監督経験のない指導者に任せるくらいの荒療治も選択肢ですし、逆に長期的にフィンク監督に任せて現有戦力で心中するということも。

 

ここから少しだけ分析

面白そうな補強

なんだかんだ言ってもポドルスキはキックの質とシュート力は未だに欧州規格の選手。特に敵MFとDFのライン間にいるときには、敵の脅威になっています。

ただ肝心なときにそこにいないシーンも多く、戦術的なポジショニングは苦手なタイプ。前々からスプリントは少なく、運動量も多くありません。

基本的には、サイドに置くとふらふら動き回り、後ろにスペースが生まれやすいので「中央エリアで好きにしなさい」という使い方もありますが、走れない選手が1~2人が限界とするなら、ポドルスキは終盤投入がベストです。

ヴィッセルのチーム状態を考えると、難しい約束事や相手の分析よりも、自分たちのサッカーをシンプルに整理したほうが頭はスッキリするかもしれません。

チーム作りの過程も指導者によってまったく違います。例えば元名古屋グランパスの風間監督は「守備は考えません」と思いっきり振り切ってしまうスタイル。「得点を取る」という強い意識を選手に植え付け、そこから守備を整理したり、補強で肉付けしたりします。

どういう監督になっても、中長期を意識するならシンプルなチーム作りから始めるしかありません。実際に前線ターゲットと優先順位が整理されていない場面も見られます。12節の試合では、ウェリントンがいるにもかかわらず、ビジャに競り合わせるボールを蹴り、ボールロスト。

これは個性や、攻撃の優先順位が整理できていないときに起こりやすいです。チームとして攻撃の優先順位を付けることができれば、出し手と受け手の判断と動き出しは早くなり、ミスを少なくできるかもしれません。

オーソドックスなポジティブ・トランジションの優先順位

1. 前線 2. イニエスタ 3. 後方ビルドアップ

(*1の意識づけは、ビジャ=裏、ウェリントン=高さ。ただ試合形式で「縦見ろ!縦に早く!」では、1の影響が強すぎてポゼッション型の弊害にはなりやすいので、局面練習で落とし込む必要あり)

またヴィッセルは、ボールがセンターラインを越える前に、サイドや中盤の選手が敵の最終ラインで並んでしまうことが多くて相手が守りやすく、攻撃時のノッキング原因になっています。

敵がブロックを形成しているなら、得点を取るためにスペースは作らないといけません。味方が横並びの状態では敵が動いてくれないので、せめてボールがセンターラインを超えるまで「ラインには並ばない」という簡単な約束事はすぐに変えられそうな部分です。

 

Jリーグのことを考えると、なんとしてもヴィッセルには、クラブとしてもビジネスとしても絶対に成功してほしいですし、アジアにはないビッククラブを作らないと、Jリーグは今までと変わらない存在感のないリーグのままです。

まずは、クラブ哲学の構築

そのうえでチームにスタッフと選手を集め、継続性のあるチームを作れるか?現状では、刹那的な成功はあったとしてもイニエスタが現役でいる間にビッグクラブすることは不可能でしょう。

Jリーグ発展の命運を分けそうなほど大きな岐路となりそうです。

スタジアムで観戦している三木谷オーナーの姿を見ると、まだまだ好きなサッカーに投資してくれるはずなので、スターだけでなく、必要な戦力に投資をして、もっと大きなクラブに成長することを期待したいですね!

 

 

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