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【AAC, aptX HD, aptX LL, LDAC】Bluetoothコーデックとは?詳しく解説!

こんにちは!マグ(MAG)です。

Bluetooth を搭載するオーディオ製品には、よく対応コーデック「SBC, AAC, aptx 」と書かれていたりします。

ただコーデックといっても、初心者には理解しづらく、何のことかさっぱりです。

そこで今回は、Bluetooth の音声コーデックについて、初心者にも分かりやすく解説していきます。後半は、全てのコーデック情報、スペック表の見方、サンプリング周波数など、コーデック中級者にも役立ちそうな情報を紹介します。

この記事で解説するコーデックは、Bluetooth 音声コーデックです。

音声コーデックってなに?

コーデックとは、音をワイヤレス通信(Bluetooth)で送るときの「音声圧縮の方式」のことです。

音の情報をそのまま Bluetooth で送ると、データの量が大きくなってしまうため「音のデータを小さくして送る」という圧縮方式が採用されています。

音声データを小さくする = コーデック(音声圧縮の方式)

つまり、私たちが Bluetooth を使って音楽を聴くときは、絶対に「コーデック」を使っているということです。

もしコーデックを日常で例えるなら「バッグに荷物をどう詰めるか」

人によっては、荷物を減らしたり、折り畳んだり、真空パックを使う人もいるかもしれません。それはコーデックも同じで、それぞれに違いがあります。

 

コーデックの種類

今、使われている代表的なコーデックは「7種類」です。

  • SBC
  • AAC
  • aptx
  • aptx ll
  • aptx HD
  • aptx Adaptive
  • LDAC

一度に覚えるのは大変なので、最初に覚えておきたいのは「3つ」

SBC ほぼすべてのデバイスが対応している標準コーデック。圧縮率が高いですが、音質は良くも悪くもないレベルです。(ビットレート次第)
AAC Apple が採用しているコーデック。圧縮率はSBCとほぼ変わりませんが、音質は高音質です。iPhone を使っているなら覚えておきたい。
aptx Android に採用されているコーデック。AACと比べると圧縮率は低いですが、音質は高音質です。Android ユーザーは覚えておきたい。

この3つは、Bluetooth を搭載するオーディオ製品の中で定番のコーデックになっています。

スマートフォンでいうと、iPhone は「SBC、AAC」に対応しており、最近の Android 機種 は「SBC、AAC、aptx」に対応しているモデルが多いです。

ほかのコーデックだと、音にこだわるユーザーに有名な「LDAC」

これはソニーが開発したコーデックで、ハイレゾ対応の最高音質とされています。ソニーのスマホである Xperia シリーズで対応しているモデルが多いです。

聴きたいコーデックを使う条件

コーデックには、いろいろな種類がありますが、使いたいコーデックがあるときは、「再生側(スマホ等)」と、「聴く側(イヤホンなど)」の両方が同じコーデックに対応している必要があります。

どちらかが対応していないと、下位互換(SBCなど)で再生されます。

各コーデックについては、コーデック(中級編)でより詳しく解説します!

 

コーデックの音質と遅延

コーデックの特徴を抑えたいときに、一般的なユーザーが意識せずとも気にしているポイントは「音質と遅延」です。

特に、スマートフォンのイヤホンジャックが廃止されつつあり、動画視聴やゲームをするユーザーからのニーズが高まっていて「音質と低遅延」は特に注目されています。

求めるリスニング環境を作るうえでは、大切なポイントにもなるので、各コーデックの音質と遅延はチャックしておきましょう。

コーデック 音質 遅延
SBC ☆☆ 約 0.27 秒
AAC ☆☆☆ 約 0.15 秒
aptX ☆☆☆ 約 0.08 秒
aptX-LL ☆☆☆ 約 0.04 秒
aptX-HD ☆☆☆☆ 約 0.13 秒
aptX Adaptive ☆☆☆☆ 約 0.08 秒
LDAC ☆☆☆☆☆ 約 1 秒

*音質と遅延は通信環境によっても変わります。

音楽だけを楽しむなら、映像はないので遅延は関係ありません。

音質もそこまで気にしないなら、標準的なオーディオ製品が対応している「AAC、aptx」どちらかのコーデックで十分です。最近のワイヤレスイヤホン、ワイヤレスヘッドホンは、その両方に対応している製品が多くなっています。


aptx-LL(aptx low latency)は、遅延が少ない最強コーデック。音ズレが気になってしまう映像音声や、音が大事になるゲームにめちゃくちゃ強いコーデックになっています。

aptx Adaptive は、高ビットレートの高音質コーデックで起こってしまうプツプツとした途切れを、電波状態や通信データ量に応じて、転送量のビットレートを調整してくれる機能が売りになっています。

ソニーの「LDAC」は、超高音質なコーデック。日本オーディオ協会からハイレゾ認定を受けているコーデックは「LDAC」と「LHDC」のみ。LHDC は流通が少なく、超高音質なら「LDAC」の一択です。

 

ほぼ遅延なしでゲームをしたいってユーザーには「aptX-Low Latency」コーデックは欠かせませんが、まだまだ対応するイヤホンは少ないのが現状です。

HP-NX20BTK
ラディウス

 aptX – LL 対応モデル

 

以上が、Bluetooth 音声コーデック初心者のための解説になります。

1. コーデックとは、音声データを小さくする圧縮方式のこと

2. 代表的なコーデックは、「SBC、AAC、aptX」

3. コーデックの「音質と遅延」

Bluetooth の音声コーデックに関して、ここまで知ってたら世間一般では詳しい人だと思います。

ただ音質や遅延も使っているデバイス(再生側)によって変わりますし、いくら高音質なコーデックであっても、本当にスペックを生かすには、もう少し知識が必要です。

単純に aptX は遅延が少なく、ハイレゾ対応は超高音質という情報だけだと、ある意味では正しくない情報なので、もう少し詳しく知りたい人は「中級編」に!

 

Bluetooth 音声コーデック(中級編)

ここからは Bluetooth の音声コーデックを深堀り解説していきます!

どうしてコーデックが必要?

そもそも音を圧縮して音質が落ちるなら「圧縮しなければいいのに」と思うかもしれないですが、これは Bluetooth の機能性にも深く関係しています。

Bluetooth は、ワイヤレス通信を目的とした規格なので、Bluetooth 機器を持ち歩くには、まず小型化は避けられません。

ただ大きな音声データをやりとりすると、小さくあってほしいワイヤレスイヤホンのサイズが、ものすごく高いハードルになってしまいます。

そこで音声コーデックを使って、データ量を抑えれば、処理も最低限だけで済みますし、バッテリーを小さいサイズにすることもできます。そうして音声データを圧縮することで、実は開発者にもユーザーにもメリットを生み出しているって状況です。

 

全コーデックの基本情報

それぞれのコーデックについての基本情報まとめ

SBC

SBC(Subband Codec)は、Bluetooth の標準コーデック

Bluetooth 規格を搭載したデバイス、オーディオ機器、ワイヤレス製品のすべてが対応している。Bluetooth の帯域制限と処理能力から考案されたコーデックで、中ビットレートでは比較的安定した音質レベルが得られるように設計されている。

AAC

MP3の後継となる音声圧縮方式。

もともとは iPod がAAC対応したことで、世界的なシェアを獲得、今では映像圧縮の規格である「MPEG-2、MPEG-4」でも採用され、Apple を筆頭に、そのほかのオーディオ製品、地上・BSデジタル放送、Youtubeなど、幅広く使われるようになった音声コーデック。

aptX

クアルコム社の高音質、低遅延の音声圧縮コーデック。

90年代には、映画やテレビ(BBC、NHK)などでも採用されていた。2009年に SBC コーデックの音質を改善するため Bluetooth 向け「aptX(アプトエックス)」を発表。Android OS を搭載するスマホ、タブレット(Android 8 以降)に「aptX、aptX-HD」が標準搭載される。

aptX LL

aptX の低遅延コーデック。

aptX LL(Low Latency)は、パケット処理を効率化し、クアルコム社により開発された低遅延コーデック。これによってビデオやゲームのオーディオ遅延の悩みを改善できるが、対応するデバイスの少なさから、ユーザー間にはそこまで広く普及していません。

aptX-HD

aptX の高音質版コーデック。

サンプリング周波数 48 kHz、量子化ビット数 24 bit の高音質伝送に対応している。最大 576 kbps の固定ビットレートのため、うまく処理ができないデバイスも多かったが、スマホ、タブレットの Android 8 以降は、aptX-HD も標準装備され、世界的に普及が進んでいる。

aptX Adaptive

aptX-HD の安定・低遅延版コーデック。

aptX-HD は、最大 576 kbps の固定ビットレートだったが、それを「280kbps〜420kbps」の可変ビットレートに変更。より転送処理を安定化させたユーザー環境が作れる仕様になっている。低遅延も実現しており aptX の次世代コーデックと呼ばれる。

LDAC

ソニーが開発した超高音質コーデック。

サンプリング周波数 96kHz、量子化ビットは 24 bitに対応している。転送ビットレートは、3段階に分かれており、音質優先、接続優先モードなどから選ぶことができる。音質優先だと転送する情報量が多い分、遅延が大きい。ハイレゾ認定される2つのコーデックの1つ。

LHDC

低遅延・高精細の音声圧縮コーデック

半導体メーカーである Savitech(台湾)が開発。SBC と比較して約3倍以上のデータ伝送が可能になっている。サンプリング周波数は最大96 kHz、量子化ビット 24 bit をサポート。

HWA

LHDCをベースにした音声圧縮コーデック。

HWA(High-Res Wireless Audio)は、LHDC コーデックをベースにファーウェイ(中国)が開発しており、400 / 560 / 900 kbpsの3段階ビットレートなど、高音質コーデックとしてのスタンスは変わらない。今後、ファーウェイ製の端末すべてに搭載されると予想される。ソニーに続き、ハイレゾ認定をうけた超高音質コーデック。

 

周波数とビット数とビットレート

それぞれのコーデックを比べるときに、参考にしたい3つのスペックがあります。

各コーデックの注目スペック

コーデック サンプリング
周波数
ビット数 ビットレート
SBC 48kHz 16bit 64-328kbps
AAC 48kHz 16bit 128kbps
256kbps(可変)
320kbps
aptX 48kHz 16bit 384kbps
aptX LL 48kHz 16bit 352kbps
aptX HD 48kHz 24bit 576kbps
aptX Adaptive 48kHz 24bit 280kbps – 420kbps(可変)
LDAC 96kHz 24bit 990kbps
660kbps
330kbps
HWA 96kHz 24bit 900kbps
500/560kbps
400kbps

*最大/スペック参考値

 

サンプリング周波数

サンプリング周波数は、声などの音をデジタル信号へ変えるときに、1秒間に標本をとる(標本=サンプリング)頻度のことを指します。音声コーデックでの単位は、kHz (キロヘルツ)になります。

音楽CDの周波数は、「44.1 kHz」

1 kHz は 1 秒 / 1,000 回なので、44.1 kHz だと 1 秒間に 44,100 個、音のサンプルを取るということです。ただし、ここで取った音のサンプルをデジタル信号にすると、半分しか再現できません。

つまり、私たちの耳には 22.05 kHz の音として届きます。

人の耳は、良い耳を持つ人でも、概ね 20 kHz までしか聞こえないので、十分に可聴範囲がカバーされているサンプリング周波数です。

逆にハイレゾ(96kHz)のようにサンプリング周波数が増えれば、よりサンプルを取る回数が多くなり、高音質になれば、そのぶんデータ量も大きいです。Bluetooth の通信環境によっては、接続の不安定さに繋がり、バッテリー消費も早くなるなど、色々と不具合も出ます。

ビット数(量子化ビット数)

ビット数は、サンプリングした音をデジタル信号に変えるとき、どのくらいの強弱を段階に分けて表現するのか?を数値化したものです。例えるなら、色の種類です。

8 bit なら 256 色
16 bit なら 65,536 色
24 bit なら 約 1677 万色

音の大きさを示す「ダイナミックレンジ(96dB)」は、16bit の 0~65536 の範囲で音を再現しています。ビット数(音の表現力)が、増えたぶんだけ必然的にデータ量は大きくなります。また人間が聞けるダイナミックレンジは「120dB」と言われていますが、これには個人差があります。

ビットレート

Bluetooth コーデックにおけるビットレートは、Bluetooth 伝送するときに、1秒あたりどのくらいデータ量を処理するかのレートです。一般的にビットレートを上げると、圧縮率が下がり、音質を上げることができます。

 

サンプリング周波数、ビット数、ビットレートのスペックが読めるようになると、各コーデックの立ち位置も見えてきます。

例えば、LDAC、HWA ハイレゾ対応コーデックは、超高音質を売りにしていますが、耳に聞こえないサンプリング周波数って本当に意味があるの?と気がついてしまうユーザーもしますし、ビットレートの数字を見れば、伝送環境の悪い屋外には向いていないことも分かります。

 

ハイレゾってどうなの?

まず Bluetooth 音声コーデックが、ハイレゾ認定(ハイレゾ・オーディオ・ワイヤレス)を受けるには、日本オーディオ協会(JAS)に承認してもらう必要があります。

ロゴが使える

認定されると、ハイレゾのカテゴリー・ライセンスが与えられます。この認定を受けているコーデックが「LDAC」と「HWA(LHDC)」です。

正直に言って、その実力は評価に困ります。高ビットレートのコーデックですが、AAC、aptX の高ビットレートと比較しても、ほとんどの人が差を感じないとも言われています。わたし自身にはその差が分かりません。

ハイレゾ・ライセンスを売りたいビジネス?と勘ぐってしまいますが、大切なのは、その音質で素晴らしいユーザー体験を実現できているか?になります。

もし権威として作られたブランドイメージで、耳の良い一部の人だけしか体験できない音なら、多くのユーザーにとっては、それほど価値のないものですし、逆に多くの人にとって良い体験があるなら、自然と求められていくはずです。

ハイレゾってどうなの?と聞かれれば、「自分の耳で聴き比べて」としか言えません。

もしハイレゾ音源と比べるときは、サンプリング周波数「48kHz」、ビット数「16bit」、ビットレート「300kbps以上」の高音質コーデックと聴き比べてみてください。

ちなみに、日本オーディオ協会の役員には、音響大手メーカー(ソニー、パイオニア、ヤマハ、オンキョー、シャープ、三菱電機など)の顔ぶれがずらり。ここらへんは、深く考えないようにしていますが、全社を挙げた「ハイレゾ聴き当て大会」が観たいですw

 

AAC と aptX Adaptive の時代

今後の音声コーデックは、すでに多くのユーザーを持つ「ACC」と、ユーザー体験を考える「aptX Adaptive」の戦いになりそうです。

アップル(AAC) VS クアルコム(aptX Adaptive)

AAC は、すでに iPhone、iPad など使っているアップルユーザーが多く、意図しなくても AAC を使っています。AAC には遅延という弱点もありますが、可変ビットレートに対応したり、音に映像を合わせるという技術も一部で登場していて、そこまで大きな不満を持つユーザーもなく、負け知らずです。

aptX Adaptive は、スマホの使い方から、逆算された次世代 aptX コーデック。ほとんどのユーザーは、スマホで音楽、動画視聴、ゲームというコンテンツを毎日使います。そのときに必要なのは、高音質で途切れにくい、遅延が少ないコーデックです。音質でハイレゾに負けようが、まさに毎日のユーザー体験を優先させたスペックともいえます。

ただ aptX Adaptive は 今後の Android 機種に搭載されると予想され、まだ Android ユーザーは、 aptX か aptX HD でしばらくは我慢しないといけません。

AAC か、aptX Aaptive か?

どちらをユーザーが選ぶのかコーデック業界も面白くなっています。

最近、気になったのは、aptX は、Android OS との相性が悪くて、遅延が発生しているって研究者がいるので、ここらへんは Google の対応でも状況が変わっていきそうです。

 

まとめ

Bluetooth 搭載のオーディオ製品は、2019 年だけで 10 億台を超えています。驚くのは、これはスマホやタブレット、パソコンを含めない数字だということです。

今後さらにコーデックを使った機器は増え続けるので、より役立ちそうな知識になってきます。

またオーディオ製品の高音質化は、悪いことではないのですが、生で演奏を聴いたときの振動の皮膚感を再現できるか?それが骨なのか、脳なのか

これまでに無い体験を次のステージに視点を置いておくことが、開発メーカーにとっては必須なのかもしれません。

ではまた!

 

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