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【Jリーグ】外国人枠を撤廃するべき5つの理由!訪れる冬の時代【2019】

今現在、Jリーグで1番外国人選手の登録が多いチームは「サガン鳥栖」

登録数は「8人

鳥栖といえば、トーレスのいるチームですが、今シーズンどういったサッカーを見せてくれるのか、すごく気になります。ただルール上、8人全員が出場できるワケではありません。

今回の記事では、2019年シーズンに改定されたJリーグ/外国人枠ルールの変更点やメリットについて紹介します!

 

Jリーグの外国人枠制度とは

もともと外国人枠の制度は、日本人選手の育成(保護)を主な目的として運用されています。

外国人枠を作ることによって、日本人選手をできるだけ多くの試合に出場させて、出場の機会を奪わないようにするという仕組みです。そうすることで「日本人選手が育ち、日本サッカーも強くなる」というのが根本的な考え方です。

2008年に、3+1ルール(外国人枠+アジア枠)が、ACLで採用されて、アジア地域の各リーグでもこのルールが推奨されるようになっています。

では、Jリーグの外国人枠ルールの中身はどうなのか?

2018年の外国人枠ルールを振り返り、2019年ルールとの違いを確認していきます。

 

2018シーズン

2018年のJリーグは、外国人の選手登録は最大5人。ただ試合に出場できる選手(ベンチ入り)は3人まで。それに加えアジア枠1人と、Jリーグ提携国の選手が外国人枠から除外されるというルールでした。

2018年
外国籍の選手登録 最大5人
試合エントリー 3人+AFC枠1人
(計4人まで)
Jリーグ提携国 無制限(タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、マレーシア、カタール)

この外国人枠と提携国ルールを活用したヴィッセル神戸は、6人の外国籍選手が同時に出場。

  • ヴィッセル神戸の外国籍選手(内訳)
    外国人枠 イニエスタ、ポドルスキ、ウェリントン
    アジア枠 キム スンギュ
    提携国枠 ティラートン、ヤセル

かなり注目度も高かった試合でしたが、問題視する声は少なく、多くの人に好意的に受け止められていた印象があります。でも2019年シーズンでは、さらにルールが改定します。

 

2019シーズン

外国籍の選手登録を無制限にして、試合エントリーも3人から5人に変更。これまでアジア圏で推奨されてきた3+1ルールを無くすことに。提携国の枠に変更はありません。

2019年
外国籍の選手登録 無制限
試合エントリー 最大5人
Jリーグ提携国 無制限(タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、マレーシア、カタール)

*J2、J3は試合エントリーは4人まで

外国人枠ルールの改定前に、リーグ側から完全撤廃という声もあったようですが、クラブ側の反発もあり、登録無制限で試合エントリーを5枠にするという形に。それと同時に「ホームグロウン制度」も新たに導入されることが決まっています。

ホームグロウン制度とは

外国人枠を広げると、どうしても日本人選手の出場機会が減少することになりやすいため、日本人選手の育成をJクラブに促進させるための制度です。

Jクラブは、ホームグロウン選手(以下、HG選手)を規定の人数以上、トップチームに登録しなくてはならない。
■ホームグロウン選手の定義:
・12歳から21歳の間、3シーズン又は36ヶ月以上、自クラブで登録していた選手
・満12歳の誕生日を含むシーズンから、満21 歳の誕生日を含むシーズンまでを対象とする
・期間は連続していなくてよい
・21歳以下の期限付移籍選手の育成期間は、移籍元クラブでカウントする
・選手を国籍、又はプロ/アマの別、又は年齢で区別しない
・JFA・Jリーグ特別指定選手は、HG選手と見なさない
■規定人数:
・HG選手の登録数は、開幕時の登録ウインドー終了時にカウントする
・期限付移籍の選手は、移籍先クラブでの登録とみなす

Jリーグ公式より引用

 

ホームグロウン選手の保有数

カテゴリー毎に、ホームグロウン(HG)選手の保有数が定められています。

シーズン J1 J2 J3
2019 2人以上 なし なし
2020 2人以上 なし なし
2021 3人以上 なし なし
2022 4人以上 1人以上 1人以上

この数字以上は、必ずトップチームに登録しなくてはならないので、「12歳~21歳以下の選手を3年以上育てて、トップチームに登録する」という約束になっています。

もし違反した場合は、不足人数分が翌シーズンのプロA契約(25名枠)から減らされることになります。

 

外国人枠を完全撤廃するべき5つの理由

外国人枠を撤廃すると、どんなことが起るのか?そのメリットについて考えていきます。

競争力を高める

まず能力の高い外国人が増えると必然的にクラブは強くなります。

クラブが強くなると、各クラブ間の競争意識も深まって、リーグ全体のレベルが向上。

これは格差のない現在のJリーグよりも、さらに向上心を持たないと、生き残れなくなります。そこに生まれる熾烈な生存競争こそ、今のJリーグにないものです。

また、この競争力は選手の成長に直結してきます。

似たような体格、似たようなスタイルを持つ選手同士が対戦していても、高い競争が続けられるとは限りません。自分達よりも、上手くて体格でも勝る相手と対峙することが国内選手の成長には大切な要件になります。

「上手くいっていたものが通用しなくなる」

そういった世界レベルでのトライ&エラーができる環境が、まだまだ日本には少ないのです。海外リーグへ移籍してから大きく成長していく選手の姿を見れば、それは実感できます。

世界とアジア市場

2018シーズンは、ヴィッセル神戸にイニエスタ選手。サガン鳥栖にはトーレス選手が加入。それぞれホーム平均観客動員数は、2017年と比べて大幅に上昇。

ホーム平均観客動員数 増減(増加率)
神戸 17170人→24752人 +7582人(44.2%UP)
鳥栖 12452人→17265人 +4813人(38.7%UP)

もちろん彼らは世界的なスターであり、ビジネスとしての永続性という意味では、素直に受け取れない数字ですが、それでも世界的にJリーグが注目されるキッカケになっていて、Jクラブへの欧州選手、指導者からの売り込みも多くなっているようです。

またコンサドーレ札幌のチャナティップ選手の活躍は、母国タイで大きな話題になり、YoutubeやSNSでもJリーグや札幌の知名度を高めてくれています。例えば、チャナティップ選手がいることで、タイの企業が日本進出を考えたとき、スポンサーに名乗りを上げるということは往々にあること。

今後は、放映権や観光など、国内だけでなく海外マーケットをどれだけ取り込めるのかが、Jリーグがアジアで生き残っていくためには大切です。今は、アジア市場の覇権を握っているアジアリーグはなく、Jリーグがその価値を高めていければ、スポンサーや放映権料などの安定的な財源を作ることも可能になってきます。

 

多様性リーグ

Jリーグクラブは、格差が少ないとはいえ、それぞれ活動地域は異なっているため、どうしても格差は生まれてきます。地域人口、スタジアムまでのアクセス。巨大スポンサーの存在など、一律同じ条件下でクラブチームを作ることは絶対にできません。

外国人枠が増えると、クラブ間の格差は当然大きくなります。

その一方で、各クラブが独自カラーを掲げられるチャンス

例えば、外国人しかいないクラブ、外国人を育てて売るクラブ、日本人育成にこだわるクラブなど、より個性的な特色をクラブ側が考えていければ、より多様性のあるリーグに発展させることができます。

たしかに全チームがトップを狙えるような J リーグも面白いですが、継続的なビジネスで考えれば、すべてのクラブにとって健全な経営とは言えません。

お金のない下位チームが、毎シーズン優勝や上位を目指してしまうと、成績の良し悪しに左右される経営になり、経営効率が悪くなりやすいからです。でも格差ができて「ウチはお金がない」となると、選手育成に舵をきるって現実路線、独自性が必要になってきて、リーグ内の多様化が進みます。

 

アジアの地域交流

外国人が増えた分だけ、日本人選手の活躍の場も減少します。溢れた選手達は、下部リーグ(J2)や海外リーグへ移籍するしかありません。ただアジア内では技術レベルのある日本人選手を獲得できるのは魅力的なチャンスですし、提携国枠があるリーグなら外国人枠を使わなくていいメリットも。

提携国でなくとも、選手、指導者、育成、セカンドキャリア構築など、あらゆる面で人材交流を活発化させる枠組みを、他リーグやAFCと作れれば、アジアサッカーとJリーグの結びつきを強くできますし、新たな市場開拓やアジアのサッカーレベルの向上にも繋げられます。地域の交流が増えれば、そこに信頼関係が育まれることになり、さらなるアジア地域の関係発展も見込まれます。

 

外国人意識

サッカーでも日本人はどこか外国人へのコンプレックスがあります。それは言葉の違いや文化の違いだったり、パワーや体格の差かもしれません。

昔ほどではないにしても、相手が外国人というだけで、気持ちや態度が小さくなってしまうことは一般の方でも多いと思います。海外移籍した日本人選手が、練習中にチームメイトに文句を言い返したらコロッと態度が変わったという話を聞くと、欧州選手にも日本人とはまた違った外国人に対する意識や感覚があると考えられます。

Jリーグに外国人選手がこれまで以上に多くなれば、ピッチだけではなく、外国人サポーターが観客席に座る機会も多くなります。そうなれば日本人サポーターの意識構造が変わらないといけないこともあるでしょうし、そういう時こそスポーツがスポーツとして正しく機能する姿が見られるはずです。

 

外国人枠撤廃に必要な条件は?

無条件での外国人枠撤廃は、そもそもの日本人選手の育成強化という目標に反してしまいます。例えば、そこそこの能力のブラジル人選手を安いからと、たくさん雇ってしまうと選手やリーグ強化に繋がらなくなってしまいます。どうやって質の高い選手を確保していくかは、新たな取り決めが必要になるかもしれません。

J1クラブ 外国籍選手の登録状況
大分 2 鳥栖 8 広島 4
C大阪 7 G大阪 4 神戸 6
清水 6 磐田 5 名古屋 6
松本 6 湘南 3 川崎 5
横浜 5+1 東京 5+1 浦和 5
鹿島 6 仙台 4 札幌 5+1

+はJ提携国(2019.2月時点)

ポジションで言えば、フォワードとゴールキーパーは外国人選手に頼るクラブが多くなっており、海外で通用している日本人選手が最も手薄なポジションになっています。日本人で22歳以下の選手、特定ポジション選手の出場時間に応じて、クラブへ育成報奨金が出る制度なども考えられます。

そういった細やかな制度設計をするなら、緩やかな緩和でいいんじゃないか?と思うかもしれませんが、大枠である外国人枠を完全に撤廃して、日本人枠やホームグロウンなど最低限のフォローアップ制度を作ることが、今後のJリーグや、日本サッカーの発展に必要な”スピード感 ”になってきます。

では、どうして急ぐ必要があるのか?

 

冬の時代への備え

Jリーグや日本サッカー協会には、大きな目標や指針があります、それはサッカー競技の普及、地域に根差すクラブチーム、スポーツでの社会貢献、ワールドカップ優勝など、これが大きな柱となっていて、その中に代表戦の勝ち負けや、育成、ビジネスなどの局面があります。

これからも、この目標に突き進んでいくとしたら、なにより重要なのは「継続性」です。人も社会もスポーツも未来へ繋げていけないと、ゆるやかに終わりがきます。そして日本には見えている冬の時代があります。

人口減少
2020 年 約 1 億 2000 万人( 14 歳以下は 1500 万人)
2050 年 約 9500 万人( 14 歳以下は 1000 万人)
2100 年 約 3000 万人~ 6000 万人(総人口)

このままいくと今後 80 年で、日本の人口は半分以下になります。つまり、このままだと現在の日本の姿はなくなっていき、観客数や育成年代、ビジネス規模も半分以下になると思っていい状況です。こういうときに頼りたい政治ですが、成果のない少子化対策を数十年も繰り返しているのを見ると期待はできません。

人の存在が半分になっても、Jリーグや地域に根差したクラブが生き残れるか?

多くの日本人選手にチャンス与えることを軸にして、今後も収益が安定するのか?

まだ少し時間はありますが、迫ってくる大きな問題にゆっくりと改革をしていると、経済の状況次第で改革できるタイミングを失ってしまったり、後発のアジアリーグに追い抜かれる可能性もでてきます。

その一方で、現状維持で外向きにはならず、リーグ規模を縮小しながら、生き残っていく道もあります。

どちらの道を選ぶべきか?

おそらく将来へのわかりやすい希望があったほうが、人は頑張れるのでしょう。

 

まとめ

島国の日本では、外国人ばかりのクラブなら応援する気がなくなるというサポーターもいるでしょう。人の価値観を変えるのは簡単ではありませんが、ガラケーじゃないとダメだと言っていた人がスマホを使ってたりするのと同じで、それが魅力のあるものなら、人の気持ちや価値観は変わります。

また日本では、なにかをやる前に「失敗したらどうするの?」「責任とれるの?」という声がとても多くなってきています。

自動運転技術では、完全無人運転レベル(危険度の高い)での公道テストを繰り返す海外企業が多いなかで、日本企業は事故がおきないように慎重にステップアップ。でもそれだと公道に出てはじめて起こるトラブルの発見と開発は遅くなってしまいます。

「とにかくやる!ダメなら修正」
「事故がないよう、慎重に少しづつ」

先行者有利といわれる世界で、どちらが競争に勝てるかは想像しやすいですね。

リーグ、施設、指導者、育成、人気、経済、人口などなど。アジアで最もバランスが取れているJ リーグは、間違いなくこれまでの日本サッカーの成果ですし、すでに各国のリーグ形勢が決まっている欧州や南米を考えると、大きくするかコンパクトにするかを悩めること自体が幸運ともいえます。

もし慎重に進むにしても、「少なくなる人材」で、どういった規模のリーグ運営をしていくのか?

日本サッカーは、歴史的な転換点が来ているのかもしれません。

 

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