ファッションの起源はいつか?と調べると、まず最初に環境変化による必需性からとする説があります。これは火山噴火の影響で気候が変化して、寒くなったからという説です。これが紀元前7万年前~7万5000年前あたり。これに似たものには、気候が変わったために、害虫などから身を守るために始まったという説もあります。
説としての起源はたくさんありますが、服飾文化の始まりを特定するのは今となってはとても困難です。でも分からないことを実はこうなんじゃないか?と想像するのが”歴史好きの悪い癖”です。今回はそんなファッション起源の面白い説を紹介します。
ファッションの起源は女性の戦略?
まず地球の気候変化では、体温を保つ機能があればいいだけなので、特別な服飾は必要ありません。
それを踏まえると現代ファッションの源流は、「民族服や、装飾(髪飾りやタトゥー含む)」がファッションの源流になるのだろうと思います。
なぜ人と異なった色や図柄を使った衣服や装飾が始まったのか?
これは人間以外の動物でも身体的な特徴を生かして求愛行動することが、そのまま答えなんじゃないかと考えます。
つまりファッションの起源は「生殖活動」ということです。
これは地球上で人間が生物として存在する以上は、1番納得できる答えかもしれません。ではなぜ人間が生殖活動において「着飾る必要があったのか?」これはもう少し踏み込んで「生物としての人間」に焦点を当ててみましょう。
以前、霊長類・ゴリラ研究の第一人者である京都大学総長/山極壽一さんは、人間とチンパンジーは、生殖活動において大きな違いがあって、それは ”発情のサイン” だという話をされていました。メスのチンパンジーの発情は、見た目でも分かるくらい膣周辺が赤く大きく腫れあがってしまい、メスは発情をコントロールすることができません。その発情サインを見てからオスが発情し、生殖活動へと進むことになります。
つまり自ら発情をコントロールできないチンパンジーは、発情のサインを見たオスが寄ってきてしまい、オスをうまく選ぶことはできません。
人間はどうでしょう?
見ただけでは女性がいつ発情しているのかは分かりません。人間の女性の場合、たとえ発情していても、外見的にお尻が赤くなったり、何かサインを出したりするような変化もありません。
生殖活動の準備ができているにも関わらず、人間の女性はなぜか「発情のサイン」を外からは見えないようにしています。
女性がコントロールする能力を持っていることは他の近親哺乳類とは決定的に違う部分です。人とチンパンジーは遺伝子的には、とても近い存在であるのに、どうしてそこまで大きな違いがあるのかは、とても不思議なことです。
隠すことで「個性」が必要になった
人間の女性は、何らかの理由(選別?)で男性をコントロールする必要がでてきた、そして戦略的に発情を隠すことで、女性は男性を扱いやすくなった。
でも発情のサインを隠してしまったので、「個性(違い)」「目立つ」「かわいい」などの装飾で着飾る必要がでてきた。
つまり着飾ることで「生殖準備ができている魅力的な一人前の女性である」というアピールに使い始めたのが「ファッションの起源」ではないか?というのが今回紹介した考え方です。
他の動物は、オスがアピールとして身体的特徴や模様(色)で着飾ることが多いですが、人間の女性は、まったく逆のことをしているって、なかなか興味深い説ですよね。でも、そのおかげで女性は、惹かれてやってきた男性を「選ぶ立場」にもなるわけです。
これって生物的に考えたらすごいことなんですよね。
もしこの女性の戦略がファッションの起源だとしたら、それはそれで美しい答えではないでしょうか?
もちろん、気候変化などの外的要因も重なった複合的な産物だと思いますが、それでも古代~現代の女性達が時間と苦労を費やして、美しさやファッションにこだわっている姿を見ると、気候の変化というような外的要因だけではない気がしてなりません。